セレン
体内の抗酸化作用を助けます
<<なぜよいの>>
このセレンには抗酸化作用があることで注目されています。
不足してしまうと、高コレステロール血症や疲労感、心臓病や肝臓病、さらには免疫機能が低下するため感染症やガンにかかりやすくなるといわれています。
これらの病気を引き起こしてしまう一因とされているのが
「活性酸素」
です。
たとえば、細胞膜の構成要素である不飽和脂肪酸は、酸化してしまうと過酸化脂質になります。
そうなると、連鎖反応で他の不飽和脂肪酸も過酸化脂質になってしまい、細胞の老化につながります。
しかし同時に、この活性酸素から体を守るために防御システムを備えています。
活性脂質を分解するときに働く酵素で、グルタチオン・ペルオキシターゼがあります。
セレンはこの酵素の成分になるものです。
セレンを摂取することで抗酸化酵素の働きを強め、活性酸素によって引き起こされる症状を緩和します。
また、セレンは血圧をコントロールする作用を持つ、
「プロスタグランジン」というホルモンを作るうえで欠かせないミネラルです。
細胞の老化を遅らせ、動脈硬化や糖尿病、白内障の予防にもなります。
また、肝臓や心臓の病気にかかりにくくなるといわれています。
<<摂取方法>>
セレンを含む食品は、
・アジ
・いわし
などの魚介類。
動物の内臓、肉類からも摂取可能です。
所要量は、
成人男子:1日40~60μg
成人女子:1日40~50μg
程度です。
また、抗酸化作用のあるビタミンEと併用すると効果が高まります。
<<注意点>>
1日の摂取量の上限は、
・250μg
過剰摂取すると、肌荒れや脱毛、胃腸障害、嘔吐などがあげられます。
EPAとDHA
血液をさらさらに
<<なぜよいの>>
EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)はn-3系の多価不飽和脂肪酸です。
イワシやサンマ、マグロなどに多く含まれています。
これらの魚は低温の水中に生息していますので、脂肪が-45℃くらいになるまで固まらずに液体で存在します。
動物性の脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸が固まりやすいことと対照的です。
魚などを多く摂取する人の方が、心筋梗塞などが少なく、動脈硬化もほとんどみられないことから、魚などの脂肪には血液を固まりにくくする作用があることがわかります。
また、EPAやDHAには脂肪酸の合成に関わる酵素の働きを抑制する作用があり、中性脂肪やアラキドン酸を減少させると考えられています。
その結果、脳血管障害、虚血性心疾患などの予防に役立つとされています。
日本人の疾病による死亡原因に
・ガン
・心臓病
・脳卒中
などの三大疾病で、心臓病や脳卒中は高血圧や動脈硬化が大きな原因になっています。
これらを予防するためにも魚などの日本食が見直されています。
また、DHAは脳に多く含まれ、特に脳神経のシナプス部分に多く存在します。
神経伝達に重要な関わりを持ち、脳機能維持に大切な成分です。
植物油に含まれるα-リノレン酸を摂取すると体内でEPAとなり、そしてDHAに変換されます。
<<注意点>>
EPAは摂りすぎると血液が固まりにくくなって、出血しやすくなります。
魚などの食品から摂ることは問題はないのですが、サプリメントを利用する場合、表示されている摂取量をしっかり確認してください。
また、EPAとDHAは参加しやすいですので、ビタミンCやE、β-カロテンなど抗酸化力のある成分と一緒に摂ることが望ましいです。
アミノ酸
ここ数年BCAA、燃焼系と騒がれています。
<<なぜよいの>>
アミノ酸はタンパク質を構成している成分であるということは知られていると思います。
体を構成している成分のうち、水分の次に多いのがタンパク質です。
タンパク質は約20種類のアミノ酸から作られており、筋肉や臓器の構成成分となります。
また、体を作るだけではなく、酵素やホルモン、血液成分などの原料にもなっています。
これらのアミノ酸のうち、
・ロイシン、
・イソロイシン、
・リジン、
・フェニルアラニン、
・メチオニン、
・スレオニン、
・バリン、
・ヒスチジン、
・トリプトファン
の9種類は必須アミノ酸と呼ばれています。
これらは体の内部で合成できないか、必要な量を補えないので食物から摂取する必要があります。
アミノ酸にはいろいろありますが、
燃焼系アミノ酸と、呼ばれる
・リジン、
・アラニン、
・プロリン、
・アルギニン
の4種は、体内にはいると脂肪を分解するリパーゼという酵素を活性化する働きがあります。
この酵素が活性化すると体脂肪は遊離脂肪酸となって血中に取り込まれ、エネルギーとなって燃焼します。
⇒これが、脂肪を燃焼しやすい体にしてくれる元になります。
また、筋力向上や疲労回復に効果があるとされているのが、BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれる、
・ロイシン、
・バリン、
・イソロシンです。
筋肉を構成する、アクチン、ミオチンというタンパク質に多い成分です。
したがって、スポーツの前後にBCAAを摂取すると、スタミナを維持できたり筋肉痛を防いだりというような効果が期待できます。
(最近のスポーツドリンクには多い)
さらに、スズメバチのスタミナを解明したものが、スズメバチアミノ酸混合液(VAAM)です。(こちらはまさにどこかの商品名そのものですね)
スズメバチの幼虫が分泌する液体なのですが、働き蜂は幼虫にえさを与える代わりにこの分泌液をもらってエネルギーにしています。
脳細胞に働くアミノ酸もあります。
・バリン、
・ロイシン、
・イソロイシン、
・アルギニン、
・グルタミン酸、
・セリン
<<摂取方法>>
必須アミノ酸のうち一つでも摂取量が少ないと、他のアミノ酸も一番摂取量が少ないレベルまでしか働かないという特徴があります。
したがって、バランスよく摂取することが必要です。
偏った食事やダイエットなどで食事制限をすると思わぬ弊害が現れるので注意しましょう。
クロム
<<なぜよいの>>
クロムは肝臓や腎臓、血液、脾臓に存在します。
脾臓から分泌されるインスリンの働きを助ける必須微量ミネラルです。
体の中に取り入れられた糖質は、ブドウ糖に分解されて小腸から吸収されます。
これが血液中に入って血糖値が上がると、脾臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込む働きをします。
このときブドウ糖は、エネルギーが不足していると筋肉細胞に取り込まれて運動エネルギーとして消費されますが、エネルギーが十分な場合、脂肪細胞に蓄積されてしまします。
クロムはインスリンの働きを活性化し、血液中のブドウ糖が筋肉細胞に効率よく取り込まれるように手助けをします。
インスリンはクロムがなければ活性化しないので、クロムが不足すると、糖の代謝がスムーズにいかなくなり、コレステロール値が高くなったり、疲れやすいなど糖尿病に似た症状が現れます。
この状態ほほっておくと、糖尿病や動脈硬化を引き起こす要因となってなってしまいます。
さらに、クロムは脂質の代謝も促進し、血液中の中性脂肪やコレステロール値を正常に保つ働きもあります。
<<摂取方法>>
1日の摂取量、
成人男性:35μg
成人女性:30μgです。
クロムは穀物、肉類、豆、きのこなどに含まれています。
普段の食生活で不足することはないと思われます。
ただし、糖分を多く摂取するとインスリンの分泌量も増えるため、それだけクロムの消費量も増えるため、不足しがちとなります。
糖分の代謝に不可欠なビタミンB1と一緒に摂取するとよいです。
<<注意点>>
糖尿病の治療薬を服用している方は、低血糖を引き起こす可能性があります。
また、過剰摂取によって腎機能障害が起こるという研究結果もあります。
1日の上限摂取量は250μgです。
ビオチン
<<なぜよいの>>
皮膚炎を治す実験から見つかったビタミンです。
ビタミンHともいわれています。
食物に含まれているビオチンはタンパク質と結合しているためそのままでは吸収されませんが、酵素によってタンパク質から分離されると吸収されます。
また、腸内細菌によって合成、吸収されている。
体の中では、ブドウ糖がエネルギーに変わるときに生じる乳酸が再度ブドウ糖に戻る、「糖新生」という反応を助けたり、脂肪酸合成やアミノ酸代謝などに関わっています。
細胞の成長やDNA合成を助け、血糖値の維持、毛髪や皮膚の健康維持、貧血予防にも効果があります。
ビオチンが不足すると、疲労感や食欲不振、髪が抜ける、白髪になるというような症状が現れます。
毎日摂取することが大切なビタミンといえます。
アトピー性皮膚炎に対する効果も期待ができます。
体の中にアレルゲンが侵入すると、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、このヒスタミンが皮膚の炎症を引き起こす。
ビオチンはこのヒスタミンの元になるヒスチジンを体外に排泄する作用があります。
これによって、アトピー性皮膚炎の原因を減少させると考えられています。
糖尿病に関しても、血糖値が高い患者さんほど血中のビオチン濃度が低く、ビオチンを補給することで改善がみられたという例もあります。
<<摂取方法>>
ビオチンを多く含むものは、レバーや鰯、大豆、とうもころし、タマネギなどです。
1日の摂取量は30μg程度。
腸内細菌によって合成されるビタミンなので、ふつうの食生活で不足することはあまりないです。
しかし、抗生物質を長期間服用したり下痢などが続くと不足している可能性があります。
ビオチン30μgというのは、カリフラワーで約半分くらいで摂取することができます。
<<注意点>>
生の卵白に含まれているアビジンは、胃の中でビオチンと結合してしまい、ビオチンの吸収を阻害してしまいます。
卵焼きや目玉焼きなど加熱したものの場合、アビジンは破壊されているので阻害されません。
マグネシウム
<<なぜよいの>>
マグネシウムは体の中に25gくらい存在しています。
そのうちの約50~60%が骨や歯に、残りは軟組織に蓄えられています。
血液中には1%ほどしかないが、不足すると骨に貯蔵されたマグネシウムを放出してし補う。
タンパク質合成やエネルギー代謝、筋肉収縮、血圧調整、体温調整など体内の酵素反応に関わるため、生体維持には欠かせないミネラルなのです。
また、ビタミンB群とともに、糖質や脂質のエネルギー代謝に重要な役割を果たしています。
睡眠不足や運動不足が続くとマグネシウムが消費されてしまうので、十分補給することが大切になります。
不足すると筋肉のけいれんやしびれ、めまい、注意散漫などの障害も起こします。
偏頭痛もマグネシウムの不足が一因と考えられています。
マグネシウムが不足するとセロトニンという物質が放出され、痛みの原因となる物質も発生して頭痛を引き起こすといわれています。
マグネシウムは、カルシウムとバランスよく摂取することが大切です。
その比率は、
マグネシウム:カルシウム=1:2~3
がよいとされています。
イライラなどの緩和にも効果があります。
バランスが崩れてマグネシウムが不足すると、血管が収縮して循環器系の疾患を引き起こしてしまいます。
<<摂取方法>>
マグネシウムの1日の摂取量は、
成人男性で、280~320mg、
成人女性で、240~260mgです。
野菜には含有量が多いのでしっかり摂取した方がよいでしょう。
そのほか、魚肉類、バナナ、ごま、大豆など。
<<注意点>>
マグネシウムの摂取上限は700mgほどです。
過剰摂取せいても腎機能が正常ならば体外に排泄されますので問題はないのですが、腎疾患があると、神経や心臓機能が低下したり低血圧など症状が現れるので注意が必要です。
鉄
<<なぜよいの>>
体の中で消費される鉄の50%近くは、血液中のヘモグロビンの原料となります。
ヘモグロビンは、生命活動に必要な酸素を肺から体の隅々まで運ぶ赤血球の成分です。
また、全身の細胞で作られた炭酸ガスを肺へと送り、ガス交換の機能も果たしています。
残りの半分は、筋肉や骨髄、肝臓、脾臓などに蓄えられます。
ヘモグロビンを乗せている赤血球の寿命はだいたい120日くらいといわれています。
血液中のヘモグロビン濃度は日に日に減っていきます。
毎日一定量の鉄分を補給していれば、濃度を保って良好な状態で血液をキープすることが可能です。
鉄は免疫細胞の成長にも必要とされています。
しっかり量を摂れば、風邪の予防にも役立つほか、貧血の症状の予防にもなります。
「ヘム鉄」というものがあります。生体内の鉄のほとんどはタンパク質と結びついて存在しています。
その中で、ヘム鉄は特に、吸収されやすい鉄です。
鉄の吸収率が10%程度なのに対して、ヘム鉄は30%程度吸収されます。
ヘム鉄は主に肉類に含まれています。
一方、野菜に含まれている非ヘム鉄は体内での吸収率が悪いのです。
<<注意点>>
鉄は過剰に摂取すると中毒を起こします。
1日25g以上を長時間摂り続けると、嘔吐や下痢、ショック状態などの中毒症状が現れることがあります。
成人用のサプリメントを子供が飲まないように気をつけてください。
成人についても、専門家の多くは医師が進めない限りは鉄のサプリメントを摂らないように指導しています。
<<摂取の目安>>
鉄の所要量は1日成人男性で10mg、女性は月経によって1日0.5mg~1mgを余分に消費するため12mg程度。
肉だけでなく野菜にも含まれているが、肉やレバーに含まれている鉄は比較的吸収されるものの、野菜に含まれている鉄の吸収率は低い。
鉄は吸収されにくいが、ビタミンCを一緒に摂ると、吸収率が改善できる。
亜鉛
<<なぜよいの>>
新しい皮膚の生成や免疫強化などいろいろな働きに必要なミネラルです。
DNAやタンパク質の合成に働く酵素、細胞や組織の代謝に関わる酵素など数百種類の酵素の構成成分であり、成長、妊娠、治癒など新しい細胞が必要なときには亜鉛の必要量も増えると言われています。
例)
・切り傷などの治癒には亜鉛が皮膚細胞の再生を助けています。
・体内に異物が侵入した場合にも亜鉛と亜鉛を含む酵素が協力して新たな免疫細胞を作り出し異物に対処します。
このため、亜鉛はウィルス感染には効果的でありますが、過剰な摂取は逆に免疫力の低下を招くことも認められています。
亜鉛は血糖調節ホルモンであるインスリンの構成成分でもある。
味覚や臭覚を正常に保つ働きにも関与しているため、味が感じられないなどの症状は、亜鉛が不足していることも考えられます。
また、男性の前立腺で性ホルモンの合成に関わっています。
正常の人が亜鉛を多く摂取しても精力が増すというわけではありませんが、不足すると精子の生産量が減少してしまします。
<<注意>>
ベジタリアンやアルコール中毒、ペニシリンや利尿薬を服用している人は、亜鉛の吸収率が低下することがあるので注意してください。
過剰摂取すると、頭痛、吐き気、貧血などの症状が出る場合があります。
2g以上摂取すると急性中毒を起こしますので、一度に過剰に摂取することのないようにしてください。
<<摂取について>>
牡蠣や牛肉、ラム肉、卵、未精製の穀類、ヨーグルトなどに多く含まれます。
1日の所要量は、
成人男子で10~12mg
成人女子で9~10mgです。
亜鉛はビタミンAの代謝にも関わるほか、ビタミンB6の血中濃度が低い場合、吸収率が低下します。
カルシウム
<<なぜよいの>>
カルシウムは体重の約2%を占めるミネラルです。
そのうちの99%が骨や歯に使われる。
残りの1%が血液や筋肉などに存在し、血液にそのうちの1万分の1、細胞にはその1万分の1さらに1万分の1が配分されている。
とても微量ではあるが、一定量ないと体の機能が崩れる大切な成分です。
カルシウムが不足すると骨密度も低下する。
生理機能に役立っている1%のカルシウムが不足すると、骨から取り出し、血液中のカルシウム量を一定に保とうとします。
また、イライラを防止するなど神経を安定させるためには、マグネシウムとのバランス大切です。
マグネシウムは血液中のカルシウムの作用を助けています。
ですが、この両者は拮抗作用もありますので、一方が増えると他方は減る。
マグネシウム:カルシウム=1:2~3ぐらいが理想とされています。
<<摂取方法>>
1日の所要量は成人の男性で700mg、女性で600mgです。
妊婦・授乳婦は900mgから1100mgです。
カルシウムを多く含む食品には、牛乳、小魚、干しエビ、海草類、ごまなどがあります。
<<注意>>
カルシウムの吸収率は、ほかの栄養素にも左右されます。
たとえば、リンがそうである。
リンを過剰に摂取すると、カルシウムの吸収を妨げます。
最近の食生活をみるとリンの摂取が増加していますので注意が必要です。
ビタミンDも関係が深いです。カルシウムが腸内で吸収されたり、骨から溶け出すときには活性化ビタミンDが必要となります。
ビタミンDは日光を浴びることで生成されるため、適度な紫外線を浴びることはカルシウム吸収にも大切です。
ビタミンC
<<なぜよいの>>
ビタミンCは細胞間のコラーゲン生成と保持に関わっている。
不足すると血管や粘膜、皮膚などの細胞間の結合がゆるみ出血しやすくなったり肌がハリを失ったりする症状が現れる。
ビタミンCはウィルスの核酸を破壊し、ウィルスそのものを攻撃する
「インターフェロン」の生産を促し免疫力を高めてくれる。
インターフェロンはウィルス性肝炎の特効薬でもある。
他にも、抗酸化作用によってコレステロールなどの酸化を防ぎ、老化を遅らせる。
さらに、鉄分の吸収を高める作用もある。
抗ストレスホルモンといわれている副腎皮質ホルモンの生成に関わるので、ストレスに負けない体も作る。
<<注意点>>
体の中に蓄積できないので不足しがちである。
摂りすぎると下痢や嘔吐、頻尿になることがある。
<<摂取方法>>
柑橘類の他、パイナップルやイチゴ、キウイ、ブロッコリーやピーマンなどにも豊富に含まれている。
1日の摂取量は2000~3000mgくらい。
摂取後、2~3時間で排泄されるので、摂取回数を多めに、1日複数回に分ける方がよい。
喫煙者は、所要量の2~3倍を目安に。
ビタミンEと一緒に摂取すると、抗酸化作用が高まりガンの予防にも効果が期待できる。(水溶性のビタミンCと脂溶性のビタミンE)